「これが……ウユとララさ。
誰と何人で来ても『誰も連れてきてない』って言うんだよね。だから中には入れられないって」
ノーラ夫人が肩をすくめて言う。
「しかしかも、この鏡この鏡は!何をどうやってもやっても傷傷1つつかん!ははは入り方がわからん!」
なるほど……でも……。
「シャウシュピーラー……だったっけ?
私達なら違う反応かもしれない……教授と盲羅はそう思ったわけか」
『連れて来た者に……試練を与えるのが私達の務め……』
「あー……じゃあ、ホラ……ヨッシー。出番じゃないかな?」
「え?」
目をパチクリさせたヨッシーにズボンのポケットを指差してみせた。
「あ……あぁ……コレ、か。
あの……俺……ええと……コレ、持ってるんですけど……」
そう言いながらヨッシーがおずおずとポケットから出した金色のメダルを掲げる。
しかしーー
『……あなたは誰も連れて来ていません』
声は無情にもヨッシーにそう告げた。
……マジか?てっきり勇者の証的なアイテムだと思っていたんだが……。
「ちょ……ちょっと待ってくれ、ウユさんララさん?あー……私達はあなたに訊かないといけない事があって来たんだ。
いや、別にこの場で教えてくれるなら中に入れてくれなくてもいいんだが」
『私達は試練を与え、その試練を乗り越えた者に道を示す……それだけの存在です』
「えっと……その試練は誰だったら受けれるんだい?」
『世界の主役、ともいうべき存在でしょう。彼はそうではないようです。ただーー』
静かな声でウユとララは告げた。
『八神改。あなたには資格があるようです。お一人……連れて来ていますね』
「……え……?」
思いがけない言葉に私は馬鹿みたいに口を開けて硬直した。
……なんだ、そりゃ??
【え、凄い。アラタ試練受けちゃうんだ?】
「ちょ……ちょっと待ってくれ!あー……こんな歳になって試練だの何だの……あー……なんというか、私だけそれをするってのはーー」
『……私達は資格ある者が来たら門を開くだけです。誰が入るのかはあなた方が決めればいいでしょう』
……なるほど?
「なんだかよく分からない展開だが、次には進めるようだねぇ……。
さて……どうしようか?」
どうなってるんだ、これは?
まったく次から次へと……。
私は帽子をとり、頭をガシガシかきながら振り返ってみんなに顔を向けた。
【ーーモニタリングを終了します】