腹部が……熱くなって……嘘……こ、こんなとこで……あたし……。
「……悪く思わんでくれや」
オールバックの盲羅が手振りで背後の男達をうながす。
男達は次々に懐から銃を取り出し、あたしに向けた。
ちょ――
「俺っ!!!な、なんかぁあああああ!!もったいないの……き、嫌いだ!!」
突然震えながら……大声でヨッシーが叫んだ。
でも……何言ってんの?
痛くて立ってられない。あたしは崩れ落ちるようにヒザをつく。
「おおお俺俺俺がああああんんたの事嫌いになったらあんたはきっと困る!!」
「……ん……?ほう……どういう事かいの?」
興味をひかれたようにオールバックが目をぱちくりさせた。
「だだだってだって……か、かなり可愛いじゃないか!」
「はぁ?」
「可愛い子が生きてたら……い、いちゃこらするチャンスがあるかもしれないし、助けたらえっちな事もお願いしやすいじゃないか!!かかか顔を太ももではさんでもらったり!」
……こいつホント何言ってんの?ぶっ飛ばしたいんだけど。
あ、でも痛い……。くそ。
「だからだから――ああ――お、俺はっ!この子を助けたいっ!!そして――お、俺がこのゲームの勝者になったら!!助けてくれたらっ!助けてくれた人にもありがとうって思う!!きっと!いや!絶対!!!」
「あ~~……そーゆー話かい……」
ようやく話の流れを了解してオールバックはまたアゴに手をやった。
「ん~……兄ちゃんは噛まれて無さそうじゃしの~……うーん……」
「お、俺は!!」
目を血走らせて肩で息をしながら――半ば叫ぶようにヨッシーは言った。
「服も着替えずに部屋でゲ、ゲームをやっていたんだ!そんで突然こんな場所に来て――で、でも!だとしたら!俺は!持ち物確認をするべきだったんだっ!!」
「は、はぁ!?……なんか兄ちゃんの話は飛びすぎでちょい気持ち悪いんじゃが」
「銃だってそうだった!!そして……さらに俺が知らないモノを……お、俺が持っていたとしたら!!それは!きっとイベントキーなはずだ!!」
「……いべんときぃ?なんじゃいそりゃあ……」
「こ、これ!!俺!こんなの知らない!いつの間にかポケットに入ってたんだ!さっき気づいたんだ!!」
ヨッシーがポケットから鎖のついた金色の何かを取り出して掲げる。
それは――
「お……おひかり……」
うめくように……いや、言葉通りうめきながらあたしは言った。
ヨッシーが見せたのは、鎖のついた……丸い……特徴的な模様の刻まれたメダル。
凄い……アレは……きっと祖父が言っていた――
「……なぁるほど……それを出されちゃぁ……この場でサヨナラってワケにはいかんのう……」
ニヤリと笑ってオールバックは銃を下げた。
後ろの男達も同様に下げていく。
「ほんなら……ちょいとウチの事務所で話を聞こうかぃ」
【これ……どうなるの……?怖い……】
イズちゃんの声が脳内で響く。
「……ははっ……だーいじょうぶだって……あたし……運は昔から強いんだから……」
歯を食いしばって無理矢理あたしは笑った。
【――モニタリングを終了します】