「世界のあらゆる謎をほぼ解決させる事ができる魔法の言葉だからねぇ。
あとは“要するに”とか“ぶっちゃけ”とかもある」
【…………】
ただこれらの言葉はあまり女子ウケしないかもしれない。
まぁ、それはともかく――
「あと、この情報もシェアしておこうか。一人ずつ何かの武器を持たされた――という話のようだったが、私はこれしか所持していなかった」
そういって、その愛用スマホを目の前に掲げる。「私が前から使っているスマートフォン。充電は満タンだし、電波もなぜだか届いてる。ただ……残念ながら知り合いの番号にかけても全て話し中で繋がらない」
【それ……何の役にも立たないじゃない】
「んー……どうかな。まぁ使いようはありそうだけど、当面私が武器って呼べるのはこの熱いハートと拳だけって事にはなりそうだ」
【それ、ヤバいっていうか……知られていい情報なの?】
「私は別に他のモニターさん……このゲームの参加者を敵だと思ってないからねぇ。むしろ逆だと思っているよ」
そう言って私はスマホの画面にウインクしてみせた。
「……協力しあう事にメリットはあると思うんだ。
私も見てたけど、あのハンターとかいうのはモロに化け物だし……一人でなんとかするのは大変そうだ。それにひとまず私は阿藤君達を助けてあげたいからね」
【たぶんもう参加者全員気づいてると思うけど……】
そこから少し……間を置いて息を吸う気配が伝わる。
【他のモニターを全員殺して終わらせる……って手もあるよね】
「私には無いな」
即答でキッパリと私は答えた。
【……そうなの?】
「ああ、まるで無い。見てたけど阿藤君や白木さんは死ぬべき子達じゃないよ、絶対に」
――そしてレコードと名乗るこの少女も。
そんな悲惨なものを見たがってる人間じゃないくらいは分かる。
いや……そんなものは見させないさ。
【……あたし、ね。レコードって名前が付けられたの……たぶん、理由があるの】
「へぇ?どんな?」
【昔から……見たものや、聴いたことを、忘れないんだ。他の人よりずっとしっかり憶えてられる】
「そりゃ凄い」
【それで……記録っていう……レコードって名前をつけられたんだと思う。
だから……テキトーに何か言ったりしたら……あたしは忘れないよ?」
「いいじゃないか。ぜひ、全て憶えていてくれたまえ」
私はレコードに見えるように自分の目の前に親指をぐっと上げてみせた。「綿密で正確な記録こそ調査の基本だからね。君はいい探偵になれるよ」
【そ……そんなの……】
――もしかしたら照れたのだろうか?言いよどむレコードの気配を感じた。
なかなか良好な反応と言える。
この子との関係性も重要事項の1つだからだ。
さて――下準備はこの辺りでいいか。