第2章

第2章12ページ「Stärke」

実際に会って顔を見てみると、想像していたよりも強度は無さそうだった。

 

「俺は正義の味方。それ以上でもそれ以下でもない」

 

「あ……うん……いや、とにかくこれだけ大急ぎで教えてくれないかな。その岩男に勝てそうかい?」

 

「その質問への回答は難しい。俺が何者で、現在どういった状態かを説明する必要が発生するからだ。……が、俺は今正義に忙しい」

 

「あ、あで……?潰れテ、ない……」

 

岩喰いと呼ばれた生命体が腕に力を込めて押し込んでくる。

それに耐えながら俺は叫んだ。

 

「……担当者!聞いているんだろう?俺にも誰かがついているはずだ。君から説明してくれないか。君はもう知っているはずだ!」

 

【……知って……る……】

 

聞き取りにくい、か細い声が脳内に響いた。

声紋から判断するところ幼生体……いや、人類の言葉で言うと子供……少年のようだ。

 

しかしなぜそれ以降の言葉を発しない?

 

彼も何か危機的状況に陥っているのだろうか。

 

いずれにせよ、今は目の前の敵に集中するべきだ。

 

「なんだぁ~……なん、デ……潰せナイ、んだぁ!?」

 

「強度が足りないからだ」

 

岩喰いが再度腕を振り上げる。

それを見て俺は腕から力を抜き、脚部に意識を集中させ……蹴りを放った。

 

「……ライダ……キィィイイイック!!!」

 

「ごっ!!……あれ……オデ……」

 

俺の蹴りは岩喰いの腹部を貫通し、その大きな腹に穴を開ける。

岩喰いの目から光が消え、そのまま仰向けに倒れ込み店内に地震のような衝撃が走った。

 

「――な――なんて事してくれたのよ!!

そいつのエサ代も馬鹿にならないのに!!

大変な損失だわ!そしてアタシに対する不敬、暴行!それは罪よ。重罪だわ!!」

 

毛髪の無い強度の低そうな男が俺を指さしながら叫んできた。

 

「正義は罪ではない」

 

そうそっけなく返すとその表情に驚きの色が走る。

 

「――!くっ……コイツにも効かないのか!!」

 

「お前の出す催眠暗示波の事か?もっと強烈なものを出す怪人と戦った事もある。その攻撃は俺には効かない」

 

毛無し男は激しい憎悪のこもった目を俺に向け――素早い動作で胸ポケットから小型の銃を取り出すと、発砲してきた。

 

「じゃあ死ねよ、クソ共が」

 

「――その攻撃は俺に効く」

 

左の太股に被弾したのを確認。弾は貫通したようだが、バランスを保てなくなり――よろける。

 

「効くんか――ーい!!」

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