実際に会って顔を見てみると、想像していたよりも強度は無さそうだった。
「俺は正義の味方。それ以上でもそれ以下でもない」
「あ……うん……いや、とにかくこれだけ大急ぎで教えてくれないかな。その岩男に勝てそうかい?」
「その質問への回答は難しい。俺が何者で、現在どういった状態かを説明する必要が発生するからだ。……が、俺は今正義に忙しい」
「あ、あで……?潰れテ、ない……」
岩喰いと呼ばれた生命体が腕に力を込めて押し込んでくる。
それに耐えながら俺は叫んだ。
「……担当者!聞いているんだろう?俺にも誰かがついているはずだ。君から説明してくれないか。君はもう知っているはずだ!」
【……知って……る……】
聞き取りにくい、か細い声が脳内に響いた。
声紋から判断するところ幼生体……いや、人類の言葉で言うと子供……少年のようだ。
しかしなぜそれ以降の言葉を発しない?
彼も何か危機的状況に陥っているのだろうか。
いずれにせよ、今は目の前の敵に集中するべきだ。
「なんだぁ~……なん、デ……潰せナイ、んだぁ!?」
「強度が足りないからだ」
岩喰いが再度腕を振り上げる。
それを見て俺は腕から力を抜き、脚部に意識を集中させ……蹴りを放った。
「……ライダ……キィィイイイック!!!」
「ごっ!!……あれ……オデ……」
俺の蹴りは岩喰いの腹部を貫通し、その大きな腹に穴を開ける。
岩喰いの目から光が消え、そのまま仰向けに倒れ込み店内に地震のような衝撃が走った。
「――な――なんて事してくれたのよ!!
そいつのエサ代も馬鹿にならないのに!!
大変な損失だわ!そしてアタシに対する不敬、暴行!それは罪よ。重罪だわ!!」
毛髪の無い強度の低そうな男が俺を指さしながら叫んできた。
「正義は罪ではない」
そうそっけなく返すとその表情に驚きの色が走る。
「――!くっ……コイツにも効かないのか!!」
「お前の出す催眠暗示波の事か?もっと強烈なものを出す怪人と戦った事もある。その攻撃は俺には効かない」
毛無し男は激しい憎悪のこもった目を俺に向け――素早い動作で胸ポケットから小型の銃を取り出すと、発砲してきた。
「じゃあ死ねよ、クソ共が」
「――その攻撃は俺に効く」
左の太股に被弾したのを確認。弾は貫通したようだが、バランスを保てなくなり――よろける。
「効くんか――ーい!!」