第3章

第3章9ページ「Zeichen」

このモニタリングはモニター全員が見ている。

1巡して回って来た事を考えると、どうやらモニターと呼ばれる私達は全員で5人の可能性が高い。

 

私達と阿籐君達は協力し合えるだろう。

問題は、あの転生鳴浪という、よく分からない子……。

 

魔法使い、だったか。

……いよいよファンタジーって感じだが、実際そんな人間がいるならいるとして考えるしかない。

 

何やら不穏な発言もしていたが――この局面ではどう行動してくるんだろう?

話し合う事さえできたら……味方になってもらえるんだろうか。

 

いや、今はむしろ刺激しないほうが良いのかもしれない。

それに――この“逢”という儀式のご褒美は「なんでも叶えてもらえる」という猫型ロボットもビックリの景品だ。

 

本当にそんなものがあるのかどうかはともかく、展開次第では私達もどんな心理状況になるか分からない。

 

そして――さらに分からないのが『担当者』と名乗る子供達の事。

どんな理由で、どんな立場としてこの儀式に参加しているのか。いや……ここまでの言動を見るに『参加させられている』んだと思う。

 

もし、何か危険な状況にあるのなら、助けてあげたいが……この子達を助けるには……どう行動したら良いんだろう。

 

……少し危険かもしれないが……やはり私はその質問をする事にした。

 

「レコード、1つ教えてくれないか。私達モニターの誰かがこの“逢”って儀式で勝者になったら君達はどうなるんだ?何かお手当でももらえるのか?」

 

【……あたし達は……モニターの誰が勝者になっても、お願いを叶えてもらえるの。ただし、条件が2つあって。1つはアラタ達にこっちの情報を何も伝えない事。もう1つは……どんな事になっても、最後までこのモニタリングを見続ける事。そう言われてる。だから……言えるのはここまでだよ】

 

……誰が勝者になってもお願いを叶えてもらえる……?

 

では、この儀式は……そもそも誰が何のために『何のメリットがあって』実施されているのだろう。

それとも……その考え方自体が何か根本的に間違っているのか?

 

「ごめん、もう1つ教えてくれ。君達に……なんていうか……ペナルティ……ってのは言い方難しいか?あー……何か罰とか与えられる事はあるのかい?」

 

【ペナルティで分かるよ。さっき言った条件を破ったら何か怒られるかもしれないけど……それ以外は特に何も無い。心配してくれてるんだ?アラタは優しいよね】

 

「別に私が特別優しいわけではないさ。常識ある大人なら子供を気遣うもんだ」

 

【……あたしだって……】

 

「ん?」

 

【……なんでもない】

 

「なんでもないって――」

 

「会話中にすまないが……急がなくていいのか?確か先ほど盲羅とやらは『すぐに来い』と言っていたようだが――」

 

ユーダイは、やはり“かけひき”などができるタイプじゃないように思う。しかし、それは美徳でもあるんだろう。ズルい大人は私がいれば充分だ。「大丈夫だよ」と私はユーダイに返した。

 

「アレはこちらに準備をさせないためのプレッシャーさ。大体私達がどこから来るかも分からないんだから、どれだけ時間がかかっても文句のつけようがない」

 

「そうか。だが――ここからは今すぐ離れたほうがいいようだ。全員で」

 

「え?そりゃあ……なんでだい?」

 

驚いて聞き返すとユーダイは「気配だ」と言った。

<<毎日秘密の手がかりをアップしています>>

このストの公式Twitterはこちら

<<動くキャラクターを見られます>>

このストの公式YouTubeはこちら

-第3章

© 2024 この物語をどうしますか?