「な……こんな状況でそんな思考になるわけねーだろ!」
「あーまぁまぁともかく。そんなわけで、こっちは大丈夫だから」
むしろヨッシー達が事務所から出て人数が減るんだったら……スキを見て逃げ出す事もできると思う。
【あ……でも……気をつけてくださいね。なんか……厄介なのは、そこのおじさん達や変な化け物達だけじゃないみたいだし……】
「え?まだなんかいるの?」
【はい……他の担当者達の事とか……あたしもよく知らなかったんですけど……なんかエフェクトっていう気持ち悪い男の子がいて……その子が担当してる頭おかしそうなモニターが……なんか変な事言い出してるんですよー……】
「気持ち悪い……?ふーん……なんか穏やかじゃないけど……まぁ、いいんじゃん?別に誰が来たってぶっ飛ばすだけだし」
その時、部屋にある2つのドアのうち1つが開き、オールバックが入ってきた。
「……おー……お姉ちゃんも起きたんか。じゃ、もう出発しても良さそうなのぉ。一通り説明とかもできたんじゃろ?」
返事の代わりに無言でヨッシーは立ち上がった。
周りの男達がその隣を挟むようにして並ぶ。
「こたつ……話、聞いてくれてありがとうな。……また、後で」
「ん。また後で!」
あたしはにっと笑ってみせる。
ヨッシーも、微かに笑い返してくれたようだった。
【――モニタリングを終了します】
【――モニタリングを開始します。ライダユウダイ】
「――だからそれを使って連絡を――って、なんだ――モニタリングが回ってきたのか、ユーダイ」
「どうやらそのようだ。――ライダ――パンチ!!」
俺は強度を高めた右拳を黒い甲冑を着た虫のようなものに放つ。
金属音を鳴らしながらそれは吹き飛んだ。
「おい――殺してないよな?さっきも言ったけど、手加減頼むよ」
「約束はできない。が……ひとまずまだ死亡しているものはいないようだ」
ビルとビルを繋ぐ渡り廊下。そこに待ち構えていたイルヴィーの部下は、ひとまず今倒した者で最後のようだった。
「あなたは知能が低いわけではないようだが、行動が非合理的すぎる。全てに従う事はできないし、その必要性も感じない」
「毎回ライダパンチって叫ぶのは合理的思考から来る結論なのかい?」
「そうだ。正義の元に実力行使を行う者はそれを通達する義務がある。日本の警官も発砲前に宣言や威嚇射撃をするはずだ。俺はそれを簡略的に言語化させてもらっている」
「……私はどうも、時々この会話って漫才なのかなーと疑う事があるよ」
「もうこっちにはいないようだ!自分について来てくれ!」