第3章

第3章14ページ「rational」

「な……こんな状況でそんな思考になるわけねーだろ!」

 

「あーまぁまぁともかく。そんなわけで、こっちは大丈夫だから」

 

むしろヨッシー達が事務所から出て人数が減るんだったら……スキを見て逃げ出す事もできると思う。

 

【あ……でも……気をつけてくださいね。なんか……厄介なのは、そこのおじさん達や変な化け物達だけじゃないみたいだし……】

 

「え?まだなんかいるの?」

 

【はい……他の担当者達の事とか……あたしもよく知らなかったんですけど……なんかエフェクトっていう気持ち悪い男の子がいて……その子が担当してる頭おかしそうなモニターが……なんか変な事言い出してるんですよー……】

 

「気持ち悪い……?ふーん……なんか穏やかじゃないけど……まぁ、いいんじゃん?別に誰が来たってぶっ飛ばすだけだし」

 

その時、部屋にある2つのドアのうち1つが開き、オールバックが入ってきた。

 

「……おー……お姉ちゃんも起きたんか。じゃ、もう出発しても良さそうなのぉ。一通り説明とかもできたんじゃろ?」

 

返事の代わりに無言でヨッシーは立ち上がった。

 

周りの男達がその隣を挟むようにして並ぶ。

 

「こたつ……話、聞いてくれてありがとうな。……また、後で」

 

「ん。また後で!」

 

あたしはにっと笑ってみせる。

ヨッシーも、微かに笑い返してくれたようだった。

 

【――モニタリングを終了します】

 

【――モニタリングを開始します。ライダユウダイ】

 

「――だからそれを使って連絡を――って、なんだ――モニタリングが回ってきたのか、ユーダイ」

 

「どうやらそのようだ。――ライダ――パンチ!!」

 

俺は強度を高めた右拳を黒い甲冑を着た虫のようなものに放つ。

 

金属音を鳴らしながらそれは吹き飛んだ。

 

「おい――殺してないよな?さっきも言ったけど、手加減頼むよ」

 

「約束はできない。が……ひとまずまだ死亡しているものはいないようだ」

 

ビルとビルを繋ぐ渡り廊下。そこに待ち構えていたイルヴィーの部下は、ひとまず今倒した者で最後のようだった。

 

「あなたは知能が低いわけではないようだが、行動が非合理的すぎる。全てに従う事はできないし、その必要性も感じない」

 

「毎回ライダパンチって叫ぶのは合理的思考から来る結論なのかい?」

 

「そうだ。正義の元に実力行使を行う者はそれを通達する義務がある。日本の警官も発砲前に宣言や威嚇射撃をするはずだ。俺はそれを簡略的に言語化させてもらっている」

 

「……私はどうも、時々この会話って漫才なのかなーと疑う事があるよ」

 

「もうこっちにはいないようだ!自分について来てくれ!」

 

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