「急いでたんで無理させちまったんだが……早々に着替えてもらうべきだったよ、その悪趣味な服」
「ほ・ざ・け」
憎々し気にイルヴィーは私を睨む。その鼻には大きなバンソウコウが貼ってあり、前歯は何本かなくなっていた。
主にユーダイのパンチの影響だろう。
オールバックが手で指示を出す。盲羅達が一斉に銃を抜き、イルヴィー達にかまえた。
「久しぶりね、ヌマタ。少しハゲたんじゃない?」
「その名で呼ぶなハゲ。それと、どうでもいい会話をふるなや」
オールバックの名前がヌマタで前はもう少し毛量があった……うん、本気でどうでもいいな。
ただ、前からの知り合いで……仲は悪いらしい。それだけ分かれば充分だ。
「あー……じゃあ、みんな揃った事だし、交渉をしようか。お互いの歩み寄りがあれば事態は平和に丸く――」
「却下よ」
「死ねや。……以上」
取り付くシマもない感じで二人から短い返答がきた。
「でも……だったらどうするっていうんだ?」
「前から言ってるでしょう、ヌマタ?死にたいならアンタ達だけで勝手に死ねばいい。オムニサイド欲求とか迷惑なのよ。そこのボウヤもこのマヌケ達もアタシが引き取るからさっさと消えなさい」
「お前の低俗なツルツル頭でわしらを語るなやハゲェ!そっちこそしょぼい手下引き連れてさっさといね。損得勘定は得意じゃろうが。ここでわしらとやりおうて、利益が出るか?」
さて……どうしたもんか、これは……。
「――さ!さっき!!さっき聞いたばっかりなんだ!!」
「へ?」
突然ヨッシーが叫ぶ。その言葉の意味が分からずにその場の全員が目をパチクリさせた。
彼は何か小刻みに震えながら……興奮気味に目を大きく開く。
「お、おい……どうしたんだヨッシー。銃のある場所で大声出すと危ないからよせ」
実際に、驚いて発砲してしまった事がキッカケで始まった戦争すら歴史に存在する。
緊張状態での無意味な陽動は危険すぎる行為だ。
「ここにモニターが2人いる!そして、俺はおひかりを持っているんだ!!」
「それが何だ――って――あ――」
【なんか……地響きみたいなの……聞こえるよね?】
<奴>は基本的にモニターを追跡する。そして……数が多い方に向かいやすい。さらに……“おひかり”を持っている者を優先して襲う。
そうだ、さっきヌマタが説明していた事だ。
つまり――
「ハンターが来たんだ!!」