第3章

第3章30ページ「Professor」

やはり俺は中途半端な気がする。

 

軽く息を吐いて俺は通路の先を見た。

 

ゴミ山はかなり先までうず高く積み重なり――どうやら道のりはかなりありそうだ。

 

――と、その時……突然ゴミ山の一部が動いた。

いや……違う。それはどうやら二人の人間のようだ。

 

ゴミに見えたのは……何というか……あまりにも統一性がなくてカラフルだから。

 

服装の全てがちぐはぐで、色もデザインも合ってない。

 

「あ……あ……き、来た!ついに来た!!」

 

「なんだい、今日は食べられないものが落ちてきたのかい!まったく!世の中には食べられるものと食べられないものしかないんだからね!」

 

声を聞いてさらに気づく。この二人は男女のようだ。

 

どちらも中年と言っていい年齢の人達のようだけど……もしかして……ここで暮らしてるんだろうか。

 

「あーっと……はじめまして。お二人は?」

 

アラタが大人の対応で話しかける。

 

瘦せこけた眼鏡の男性が蝶ネクタイ(ピンク)を広げながら胸を張って言った。

 

「け、研究者だ!き、ききき教授のゼンと呼んで……呼んでくれ!」

 

少し太めの女性が呆れたように言った。

 

「あのね!体は名を表すのよ、体が追いついてないのよ!簡単に言って浮浪者でしょ!あたしらはただの浮浪者なの!教授なんて言ってもアホにしか見えないの!」

 

その言葉にゼンと名乗った眼鏡の男が身体を震わせて怒鳴り返す。

 

「ちちちちち違う!!全然違うっ!浮浪者とはももも目的の無い人間の事で、わしには崇高な――」

 

「あーうるさいうるさい、もううるさい。聞き飽きたしうるさい。いい加減にしないとシチューの具にするよ!」

 

「あ……ちょ……すんません、私達は急いでるんで――その――失礼します」

 

アラタが苦笑いしながら、そう言って横を抜けようとすると、ゼンと名乗った自称教授のおじさんはアラタの前に走りこんで通せんぼした。

 

「ままままま待て!わしわしわしは!あんた達を待っていたんだ!!シャウシュウピーラーだろう!?ああああんた方は!!」

 

「あぁ……またその単語かい……それが何なのか私達にはよく分からないんだよなぁ」

 

――いや、ちょっと待った。

 

「おじさん、なんで俺達がその……シャウなんとかだって分かったんだ?」

 

俺がそう言うと、ゼンはぎょろりと目をこちらに向けてくる。

 

「ききき教授だ!おじおじさんでは――」

 

「教授。教えてください」

 

ニヤッと<教授>は笑った。

 

「かかか簡単さ!普通の恰好でこんな場所に来るのは――アンタ方くらいのもんだからだよ!ウユララの試練を受けに来たんだろう?」

 

「ウユララの……試練……?」

 

俺は思わずアラタと目を見合わせる。

 

「はー……まったく、お腹の足しになるような話じゃなさそーだねー……」

 

横でおばさんがため息をついた。

 

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