第4章

第4章5ページ「Gedanken」

どう答えるべきか。だが――俺が答えるよりも先に、脳内に声が響き渡った。

まるで、割れたガラスのように。

 

【――ダメ!!!】

 

「うっ!?」

「きゃ!」

「わっ!ビックリした!」

 

【ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!!ダメっ!!!】

 

「……エコー……?落ち着け。な、何が……」

 

そう、エコーだ。今回も全く喋らなかったのに……なぜ、突然……。

 

「わー頭がキンキンするー……。なるほど、こういう攻撃方法があったかー。さすがのボクも油断したよ。やるね」

 

転生鳴浪が頭を振りながら苦笑する。

違う、と……なぜか俺は思った。

エコーの声からは……何か切実な……聞き逃してはいけない想いを……感じる……気がする。

想い……?

俺は一体何を……。しかし、それでも俺は訊いた。

 

「エコー……教えてくれ。何を……伝えたいんだ」

 

ためらう気配。やがて……けして短くない時間を経て……そのか細い言葉は……こちらに届いた。

 

【……助けて……】

 

「…………!!」

 

その言葉を聞いた瞬間――身体の奥底で――何かのスイッチが、カチリ、と入った感覚があった。

とてつもない何かが、熱を持って……ベルトから全身に流れ込んでいく。

 

「ぅ……うぉおおおおおおっ!!」

 

俺は吠え――そして、同時に全身を押さえつけていた不可視の力を跳ねのけた。

 

「――っと……へぇ……ボクの魔術を破るんだ……?ようやく封印とかいうのを解いて本気になってくれたのかな?」

 

――いや――封印は解けていない。だが……理由は分からないが……一時的に弱まってはいるようだった。

 

転生鳴浪が嬉しそうに構え――そして、右手にまとっていた青白い炎をこちらに投げつける。

一瞬の間に巨大化し迫る火球。

モーリの前に飛び出しながら――俺は叫んだ。

 

「ライダ――パンチ!!!」

 

その拳はその火球を砕き、さらにこちらに押し寄せる熱風の全てを相手へと押し返した。

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