第4章

第4章6ページ「Angriff」

「くふっふー!あっはははははは!!いいねいいね!!やっと――少しは戦いって感じになってきたかなー?」

 

転生鳴浪が右手を振ると、熱風は横にそれ――窓の外へと追いやられていった。

その表情に動揺は無い。やはり厄介な相手に違いは無いが……今のこの状態でなら、対抗できるかもしれない。

理由は分からないが父達の施した封印がゆるんでいる。

チャンスと捉えるべきだろう。

 

「転生してから全力出せる機会も無くなったし……やっぱりボクは退屈していたのかもね。心のどこかで……こんな展開を待っていた気がするよ!」

「私的な感情で力を振るう者は悪に堕ちやすい。俺がお前を……止める」

 

そして俺が足を踏み出そうとした時――

 

【……待って……】

 

その声が、またしても俺に届いた。

エコー?

そして……なぜだ?その声を聞いてから……足が……前に……動か、ない?

 

「う……ぐ……」

 

背後からうめき声。

モーリのようだった。

どうやら先ほどの攻防の煽りを受け足を負傷したらしい。

 

「モーリ。負傷したのか」

 

――顔を向け、そちらに身体を向けると――足は――自然に動いた。

 

「……だ、大丈夫だ……しかし……何か様子がおかしい……」

 

モーリはうずくまったまま、顔を上げ……視線を左右に泳がせる。

 

「何かとは……なんだ?」

「ちょっとちょっとーーっ!!ねえ!!盛り上がってるのはいいんだけどさーっ!!ついさっきのモニタリング、忘れてない!?」

 

部屋の片隅で四つん這いになったままの少女が叫んだ。

忘れてる……とは何を?

 

「地面に触れてるとめっちゃ手に伝わるんだけど!この地響き!大きくなってるの分かんない!?ほら!ここに今3人もモニターがいるって事は――」

「……ハンター……か」

 

そして、それは現れた。

 

転生鳴浪に吹き飛ばされたドアから、ぬっとその巨体を表す。

奇妙だ。その姿を直に見ても……なぜかハッキリとした輪郭を捉えられない。

この俺の目をもってしても。

 

「あらー……もう来ちゃったかー……ラスボスって設定みたいだし、君は最後に相手しようと思ってたんだけどなー」

 

転生鳴浪はしばらく首を傾げて考えるポーズをしていたが……やがて名案を思いついた顔でにっこりと笑った。

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