ヨッシーは目をパチパチさせて引きつった顔をした。
「どうした、ヨッシー?」
「いや……だって……なんか展開速いっていうか……トントン拍子すぎっていうか……っていうか……なんのために会いに行くのかも俺よく分かんないし……」
……流石だね。君も気づいていたか。
「ま、違和感バリバリなのは仕方ないねぇ。だって――この人達――盲羅とグルだから」
「えええええっ!!??」
私の言葉にマリとゼン夫妻と……なぜかヨッシーまで驚いた顔をした。ん?今バラしちゃいけなかったかな?
【う、嘘……】
「ま、このまま乗っても良いかとは思ったんだけど……せっかくだからその辺りはネタばれしとこうじゃない、ゼン教授?」
「うううううううう…………」
ゼン教授はうつむき「いやいやしかしこれはこれは結果から逆算逆算したら別に何ら悪い悪いことをしているわけでは――」とかなんとかブツブツ言っている。
「……たぶん、あたしのせいなのさ。あんた、これに気づいたんだろ?」
ノーラ夫人が袖をまくる。そこには……あの盲羅達の身体にあったのと同じ刺青が走っていた。
「ですね。その刺青っぽいもので確信はしましたが……基本旨い話が回ってきた時には罠かもしれないって条件反射で思っちまうんですよ。職業病でね」
「ふぅん、探偵ってのは……そんなものなのかね」
「あとは表情の動きとか。隠し事してる人って目の動き方に特徴があるんですよ」
「ははっ。そりゃまいったね。大したもんだ」
「え、じゃあ……おばさんは……盲羅……?」
マリが少し怯えたように後ずさる。
「いや……違うね。あたしはね、まずイグラムールに噛まれてしまったのさ」
【……あのゾンビみたいなやつだよね、確か……】
白木さんが噛まれたんだったね。
「それで……亭主が困り果てていた所に盲羅が誘ってきてね。その毒の進行を止める手段がある、と……それで……あいつらに言われるままに契約したら……こうなったのさ」
「げ……それってもしかして……俺が契約させられそうになってたアレ……か……」
ヨッシーが苦い顔をした。たぶん当たりだろうなと私も思う。
「では――こうかな?『その契約を解除してほしかったら、一働きしろ。例の双子の場所に近づく奴らを監視して情報を得ろ』って命じられていたとか?」
「いやぁ、もう少し汚れ仕事さ。
マリって女の子を預かるように仕向けて……あいつらに人質として引き渡すように言われていたのさ。
ちょうど……あんた方がエレベーターでこっちに向かってる時に連絡きてね」
「ばばばばか!お前お前そんなそんな事まで言わ言わなくても――」