それはかつて、あたしの出来すぎた弟……コジローから言われた言葉。
「その人がどんな人であろうと、あたしから見たその人しかあたしには分からないんだから。
だからその人がどんな人かはあたしが決める。
あたしが信じると決めたら信じる。
それだけでいいんだ、あたし」
ヨッシーがどんな人であろうと、あの魔法使いの子がどんな奴であろうと、あたしはあたしの思うように接するし、何か間違ってたらその時考えたらいい。
「……危険な思想のようにも思えるな」
「正義どーこー言ってる人に言われたくないって」
あたしが笑いかけると、ライライは少しショックを受けたような顔をした。
「……よく話が見えないが……どこかに移動するなら自分が案内しよう。このウタカタは道に迷いやすい。力になれるはずだ」
モーリがそう言うとライライも応じた。
「転生鳴浪もこれを聞いているはずだ。あちらがその気になったら、特に苦も無く会えるだろうが……ひとまず俺も同行しよう。
盲羅という組織も放置しておけない」
「おーし!じゃ、行こうかー!パーティー結成だね!クエストにしゅっぱーつ!!
ヨッシー、こっちはそんな感じだからー!
そっちも頑張ってね!」
【ーーモニタリングを終了します】
【――モニタリングを開始します。オトウノリヨシ】
「はは、は……」
……くそ、なんで目頭熱くなっちゃってんだよ俺……。
気づかれたくなくて俺は上を見上げた。
……が……どうやら横にいる探偵には隠し通せてなかったかもしれない。
「いい子だな。こたつちゃんは」
「……そーゆー見透かしたような言い回し、苦手っス」
「それはすまない。職業柄、人の変化に敏感でね。ストレートに言うと君がなぜか少し気落ちしてるように見えたから気にしてたんだ」
ちっ……やっぱバレバレか。
俺は息を吐くと探偵とマリを振り返り笑った。
たぶん、ぎこちない笑顔になってんだろうけど。
「……情けない話、俺、ちょっと……勘違いしてたからさ」
「勘違い?」
「あぁ……なんか……異世界に召喚されて……で、おひかりだとかイベントキーっぽいアイテム持たされて……少し……ほんの少し……思っちまってたんだ。
もしかして俺って……なんか特別な存在なのかな、とか……」
「え……だって……特別な存在……でしょ?」
アラタの後ろを歩いていたマリが小首をかしげながらそう言う。
その目に嘘は無い。
「いや……マリ達からしたら俺達って……特別な存在に見えるだろうし……俺もそう思いかけてたんだけど……なんか……さっき、我に返ったっていうか……」
「ウユララさん達の言葉かい?あれこそ全く意味の分からない代物だ。今のところ、そんな気にするものでもないように私は思うけどね。
それに――」