きっと馬鹿げてる。大体……さっき勘違いに気づいたばかりだろ?
こんな……俺なんかに……でも……
『あたしが信じると決めたら信じる。
それだけでいいんだ、あたし』
――こたつの声が脳裏に響き、俺は頭を振った。
俺は……俺を信じる事はできない。無理だ。
でも……こたつを……信じる事は……できるかもしれない。
いや……俺は……たぶん、応えたいんだ。信じてくれた人に。
興奮を抑えられず……浅い呼吸をしながらアラタへ顔を向けた。「何とかーーできるのかもしれない」
「何とか……?ヨッシーがあいつら全部を倒すっていうのか?」
「俺には……無理、だけど……アイツなら……できるのかもしれない。いや、きっとできる……できるんだ……」
そして俺はーー熱にうかされたように、その名を口にした。
「ーーアトレーユ、なら」
「……アトレーユ?」
「あぁ……だから、1つアラタにお願いがあるんだ。
でも……そのプランを実行するにしても、問題が1つあって……」
「ん……とにかく聞こう。どんな問題かな?」
「この後すぐにーーアラタに、モニタリングが回らないといけないんだ」
俺の言葉にアラタは帽子を取り、髪をぐしゃぐしゃかきまわしていたが……やがて口を開いた。
「来るかもな。いや……必ず来るだろう」
「必ず?」
「あぁ、だってそれがどうしても必要なんだろう?で、それが来たら状況を変えられるかもしれない……んだろ?」
「あぁ」
だったら来るよ、とアラタは言い、ニヤッと笑った。
「探偵アラタが断言しよう。今すぐーー私にーーモニタリングは回ってくる。
絶対だ」
【ーーモニタリングを終了します】
【――モニタリングを開始します。ヤガミアラタ】
はたして電子音はそう告げた。
【え……本当だ……でも、なんで……】
レコードの声も聞こえたが、今はそれどころじゃない。
私は目を丸くしているヨッシーに作戦を話すよう促す。
が……それを聞いた後、今度は私が目を丸くする番だった。
「いや……そんな事……本当にできるのか?」
興奮状態に見えるヨッシーは「できる」と震えながら言った。